社会への提言
気になるニュースなどを目にした際、関係機関に対して光害の観点から質問・意見をさせていただいています。 質問と回答を、可能な範囲でこちらに公開していきます。
東京都 「(仮称)公共施設等のライトアップ基本方針」(素案)への意見送付
参考サイト:「(仮称)公共施設等のライトアップ基本方針」(素案)の公表及び御意見の募集について
素案PDF:「(仮称)公共施設等のライトアップ基本方針」(素案)
送信先:東京都政策企画局調整部政策課
【意見内容】(2018.1.12送信)
(前略)
1.基本方針の名称について
基本方針の名称が「(仮称)公共施設等のライトアップ基本方針」となっておりますが、「ライトアップ」という言葉は、光害についての知識があまりない一般の方は、単に「明るく照らすこと」と捉えがちです。また、多くの一般の方は「明るいほど安全・安心である、華やかで良い雰囲気になる」との先入観を持っており、オリンピックに向けて「東京の街の明るさが増していく」ことを期待することが予想されます。
「本方針の目的」に書かれている通り、目的は「夜間景観に磨きをかけ、東京の魅力を高めること」すなわち「適切な照明デザインによる夜間景観演出」であり、単に「明るさを増すこと」ではないはずです(東京はすでに世界で最も明るい都市の一つです)。例えば「公共施設等の夜間照明による景観演出の基本方針」あるいは「公共施設等の夜間景観演出による魅力向上の基本方針」といった名称への変更をご提案いたします。
2.ライトアップ対象施設(P2)について
対象施設として、「河川」「港湾・海岸施設」「公園・庭園」が含まれておりますが、河川・海・樹木・草花等には、多くの昆虫・魚類・鳥類等の生物が生息している場合があり、夜間照明の影響を受ける可能性があります。そのような場所でライトアップを計画する際には、周辺の生態系を調査し、影響を最小限に抑える配慮が必要です。
「河川」については、河川そのものを対象とするのではなく、周辺の歩道・親水空間・護岸設備等を対象とした表現への変更をご提案いたします。また、「主な対象施設」の枠内に、注釈として『ただし、生態系への光害が懸念される場所では、植物・水面等の自然物は対象としない。』といった文言を追加することをご提案いたします。
3.基本的な考え方のコンセプト(P14)について
図20の記述ですと、コンセプトIが機能照明を対象としたもの、コンセプトIIが演出照明を対象としたものと読み取れますが、コンセプトIの「光害防止・省エネルギー」は演出照明においても配慮すべき観点であるはずです。この点が明確となるよう図20の修正をご提案いたします。
4.全体を通し、追加していただきたい要素
(1) 光害の事例として、「夜空への漏れ光により、星空が見えなくなっている」点に関する記述と対策
「夜空の明るさへの影響」は光害が引き起こしている諸問題の中でも最も重要なものですが、この点に関する記述が不足しているように感じます。具体的には、以下の記述を追加することをご提案いたします。
●P4「ライトアップの問題点」の3項目めの次に、『・また、夜空への漏れ光の抑制が不十分であり、都心では星が見えにくく、天体観測イベント・理科教育などに支障が出ている。』
●P6、『D 光害による夜空の明るさへの影響:夜空の方向への漏れ光は、夜空の明るさを増加させ星を見えにくくする原因である。演出上の必要性がある場合を除き、上方光束(光源から水平面より上へ向かう光)がゼロである照明器具を使用することが望ましい。』
(2) 適切な色温度に関する記述
P17には「地域にあった光色を選定する」とありますが、より具体的に「光害抑制には色温度の低い光源(例えば3000K以下)が有効」との記述をするのが望ましいと考えます。この点から、以下の記述を追加することをご提案いたします。
●P15「2) 周辺環境に配慮した設置」への追加項目『・特に生態系への光害が懸念される場所では、自然環境への光漏れを最小限に抑えると共に、低い色温度(3000K以下)の光源を選択する。』
●P17「B 色温度」への追加項目『・一般的に、低い色温度の光は落ち着いた雰囲気を演出する。機能照明においては、(高い色温度を必要とする特段の理由がない限り、)低い色温度を採用することが、光害(生態系への影響、夜空の明るさへの影響等)を抑えるという点でも有効である。』
(3) 明るさの時間的制御に関する記述
深夜など、明るさの必要性が低下する時間帯に減灯・消灯することも省エネルギーに有効であり、LEDの普及によりそのような制御がより利用しやすくなっています。以下の記述を追加することをご提案いたします。
●P7「新しい技術による省エネルギー化と再生可能エネルギーの利用」への追加項目『・時間帯に応じて照明の点灯状態をコントロールする技術も積極的に導入し、省エネルギー化を進めることも必要である。演出照明は深夜には消灯することが望ましい。機能照明は通行量などに応じ、安全上問題ない場合には深夜の減灯・消灯を検討すべきである。』
●P15「1) 適切な照明機器の選定と再生可能エネルギーの利用」の最後の文章に文言追加『また、照明の時間的制御の導入や再生可能エネルギーの利用を進めていく。』
(4) 過剰なライトアップによる逆効果に関する記述
以下の記述の追加をご提案いたします。
●P4「ライトアップの問題点」への追加項目『・一部の区画では、ライトアップの氾濫により明るさ競争のような状況が生じており、エネルギーの浪費に繋がっているだけでなくライトアップそのものの効果も低減されている。』
●P17「D 光と影のバランス」への追加項目『・ライトアップの氾濫により、無意味な明るさ競争のような状況を引き起こしては、エネルギーの浪費に繋がるだけでなく、ライトアップそのものの効果、ひいては夜間景観の魅力も低減されてしまう。繁華街における照明計画ではこの点も配慮すべきである。』
5.その他
P10にトピックスとして「地域環境を考慮したライトアップなどの記事」が掲載されておりますが、ライトアップへの批判的意見を封殺するために掲載している、と解釈されてしまう恐れがあると懸念を抱きます。この記事を掲載している意図は何でしょうか。
(後略)
境港市 水木しげるロードのライトアップ計画に対して
参考記事:夜はキラキラ 水木ロード(読売新聞)
送信先:境港市ホームページ 市民の声提案箱
【意見内容】(2016.1.28送信)
(前略)本日の読売新聞の記事「夜はキラキラ 水木ロード」にて、2016年度内に水木しげるロードの全面改修が予定されており、
夜間ライトアップが含まれるとの記事を拝見しました。慎重に計画されていることとは存じますが、念のため、以下の通り意見させていただきます。
ライトアップは観光地の魅力アップに効果的ではありますが、照明を設置する際には、光源の種類・輝度・照度・色温度・向き・時間制御など、
適切に選択されなければ、逆に雰囲気を損ねたり、迷惑光となったり、周囲の自然環境を破壊する可能性があります。
街では、単にLED照明を当てるだけの乱暴なライトアップが遍在しています。
照明デザインの専門知識を持たない、単にLED照明を扱っている業者に全て任せてしまいますと、同様の事態に陥ってしまう危険性がございます。
水木しげるロードは妖怪の像を売りにしており、明るすぎる照明や白色の光は、その雰囲気を台無しにしかねません。
適切な照明デザインを十分検討し、歩行者の安全性は確保した上で、妖怪のたたずむ夜にふさわしい控えめなライトアップが望ましいことは、
ご賛同いただけることと思います。
ぜひライトアップ計画は、LED照明業者に全て任せるのではなく、照明デザインの専門家を中心に実施されますよう、お願い申し上げます。(後略)
【回答】(2016.2.10受信)
現在、本市では、水木しげるロードリニューアル事業において、照明を使った夜間演出計画を進めております。
今回の計画策定にあたりましては、豊富な実績を持つ照明デザイナーにご参画いただいておりますので、ご指摘の点を十分に考慮しながら、
ライトアップが逆効果とならないよう、妖怪の聖地にふさわしい水木しげるロードならではのライトアップとしてまいりたいと考えております。
なお、「河童の泉」及び、その周辺の歩道の街灯(目玉街灯)は、これまで白色の電球を使用していましたが、先月、
先行実施した「河童の泉」のライトアップにあわせ、照明デザイナーのアドバイスにより、暖かみのある電球色に変更したところです。
回答ページ:平成27年度「市民の声提案箱」回答状況(36番)
駐輪場のLED照明に対して
送信先:さいたま市コールセンター
【質問内容1】(2015.10.1送信)
(前略)現在XX駅近くに建設中の、XXが入る建物について、先日駐輪場用の照明が設置されました。
白色LED照明ですが、非常に輝度が高い上に、発光面の角度がほぼ真横を向いており、すぐ脇の歩道を歩く人の視野に直接入ってしまいます。
耐え難いほどまぶしく、歩行者の安全性を低下させるものとなっています(ぜひ一度現場でご確認ください)。
申し上げるまでもありませんが、照明を設置する際は、できるだけランプや発光面が直接視野に入らないようにし、
グレア(まぶしさ)を抑えるべきです(照明は対象を照らすものであって、光源が直接見えても意味がありません)。
また、明るさや省エネ面だけに着目してLEDが採用されることが増えていますが、LEDの発光面は非常に輝度が高く、より注意が必要です。
上記の駐輪場照明は、敷地の端から全体を照明するために、発光面が真横を向いてしまっています。
角度を調節できそうですが、おそらくそれだけでは解決できません。
解決策の一つは、駐輪場の中心付近にポールを立て、発光面が真下を向いたLED照明を設置することです。
その場合、おそらく現在よりも輝度が低くても十分な明るさが得られます。
建物壁面に、真下を向いた(今より輝度の低い)照明を複数取り付けるのも方法です。
さらに、閉館以降は消灯させるようなタイマーや、人が近づいたときだけ点灯させるセンサーを導入すれば、省エネ効果が上がります。
LED照明は寿命が長く、一旦設置されれば10年以上そのまま使用される可能性もあります。
上記の提案ではランニングコストも下がりますので、今すぐ照明を交換してもやがて元が取れるのではないでしょうか。今のうちに、ぜひ改善をお願いいたします。
【回答1】(2015.10.13受信)
XX駅東口に建設中の施設の駐輪場用の照明について、貴重なご意見をいただきありがとうございます。
越智様からご意見をいただいた照明につきましては、駐輪場全体を照らし、少ない照明の数で照度を確保しつつ、
ITVカメラで監視できるようにポール上に設置したものです。
この照明につきましては、角度の調整が可能となっておりますので、今回いただいたご意見を踏まえ、
直接歩行者の視野に入らないように建物の壁を照らすよう角度を調整し、壁への光の反射を利用して間接的に駐輪場を照らすことで、
照度を確保したいと考えており、早速現地を確認させていただき、検討、調整をさせていただきます。
なお、この照明については、タイマー制御により、施設の閉館後は消灯する予定となっております。(後略)
【質問内容2】(2015.10.13送信)
(前略)該当の照明は、数日前に水平方向の角度が変更され、まだ点灯時を見ておりませんが、歩道の歩行者にとってはまぶしさは問題ないと思います。
しかし、駐輪場入口から中へ向かう利用者からは、以前と同様、発光面が直接見えるように思われ、やはり同様の懸念があります。
(まだ中には入れず、確認しておりませんので、実際には柱の陰などで大丈夫かも知れませんが。)
監視カメラに必要な照度とはいえ、利用者の安全性を損なうものであっては本末転倒です。
現場を確認される際には、利用者が駐輪場内を歩く際に、まぶしさを感じないか、ご確認いただければ幸いです。
また、高齢者の方の目は、よりまぶしさを感じやすいことにもご配慮いただければと思います。
僭越ながら再度申し上げますが、該当の照明は輝度が高すぎ且つ光を水平方向に発していることが問題です。
その原因は「少ない照明の数」を求めていることで、一つの照明で広い面積をカバーしようとすると、
照度のムラが大きくなり、光源近くが明るすぎる・光源がまぶしすぎるといった問題が生じます。
可能であれば輝度の低いものを複数設置することで照度を確保し、発光面は下に向けることが「質の良い照明」となります。
もちろん予算との兼ね合いにはなりますが。(後略)
徳島県 LED・デジタルアートミュージアム構想に対して
参考記事:山や川デジタルアートで装飾 県が構想推進、魅力発信(徳島新聞)
送信先:徳島県観光政策課
【意見内容】(2015.9.8送信)
(前略)「LED・デジタルアートミュージアム構想」のニュースを拝見し、僭越ながら関連情報をご提供させていただければと思い、メールさせていただきました。
ご存じかも知れませんが、今年5月に、鳥取市が鳥取砂丘における光のイベントを公募し、上空を大型投光器で照らす「光のタワー」計画を採択・公表したところ、
周辺の生態系や天体観測への影響(いわゆる「光害」問題)を懸念する声が広まり、メディアに大きく取り上げられ、
鳥取県の平井知事が「光害対策ガイドライン」に照らして懸念を表明した後、最終的に中止となった事例がありました。
詳しい経緯は、当方のサイトをご覧ください。http://hikarigai.net/mediablog/?eid=377
関連記事:http://www.sankei.com/west/news/150528/wst1505280015-n1.html
http://www.asahi.com/articles/ASH5W4TCSH5WPUUB00X.html
今回の「LED・デジタルアートミュージアム構想」のニュースでは、『山や川、公園などをフィールドに見立て、デジタルアートで彩る』との報道がされており、
計画の内容によっては、同様の懸念が生じる可能性があるように感じております。
つきましては、本事業の公募選定・遂行におかれましては、ぜひ事前に環境省の「光害対策ガイドライン」をご一読いただき、
山や川などの自然物をライトアップ対象とする計画や、上方(夜空)への投光を伴う計画につきましては、慎重にご対応いただきたく、謹んでお願い申し上げます。
環境省・光害対策ガイドライン http://www.env.go.jp/air/life/hikari_g_h18/index.html (後略)
京都東山 天空のライトアップ・イベントに対して
参考ページ:東山 天空のライトアップ (PDF)
送信先:東山「観光・交通・環境」協力会議 [LINK]
【意見内容】(2015.7.23送信)
(前略)「天空ライトアップ」計画のニュースを拝見し、僭越ながら関連情報をご提供させていただければと思い、メールさせていただきました。
ご存じかも知れませんが、今年5月に、鳥取市が上空を大型投光器で照らす「光のタワー」計画を発表したところ、
周辺の生態系や天体観測への影響(いわゆる「光害」問題)を懸念する声が広まり、メディアに大きく取り上げられ、
鳥取県の平井知事が「光害対策ガイドライン」に照らして懸念を表明した後、最終的に中止となった事例がありました。
詳しい経緯は、当方のサイトをご覧ください。http://hikarigai.net/mediablog/?eid=377
関連記事:http://www.sankei.com/west/news/150528/wst1505280015-n1.html
http://www.asahi.com/articles/ASH5W4TCSH5WPUUB00X.html
鳥取市の件と比べ、今回の東山での計画は、元々夜も明るい周辺環境であること、また点灯期間が限定的であることから、
環境への影響はさほど心配されるものではないと推察いたします。
しかしながら、たとえば来年・再来年と事業規模を拡大し、光の強さや点灯時間が拡大してしまいますと、
「光害」の問題が懸念される事態になりかねない、と憂慮いたします。
本事業の遂行におかれましては、ぜひ環境省の「光害対策ガイドライン」をご一読いただき、
人工光による周辺環境への様々な影響を十分に考慮した上で、計画・実施していただきたく、謹んでお願い申し上げます。
環境省・光害対策ガイドライン http://www.env.go.jp/air/life/hikari_g_h18/index.html (後略)
鳥取砂丘「光のタワー」計画に対し、懸念表明
国際ダークスカイ協会東京支部(IDA東京)として、鳥取砂丘「光のタワー」計画に対し懸念表明を行いました。
懸念表明の内容は、IDA東京サイトをご覧ください。
鳥取砂丘「光のタワー」計画に対し懸念を表明します
本件は、メディア等で多数取り上げられました。詳細な経緯は、下記のページをご覧ください。
報道リンク集:鳥取砂丘で「光のタワー」計画
富士山ライトアップ計画に対し、懸念表明
国際ダークスカイ協会東京支部(IDA東京)として、富士山ライトアップ計画に対し懸念表明を行いました。
詳細は、IDA東京サイトをご覧ください。
富士山ライトアップ計画に対し懸念を表明します
長野県飯田市、光害についての住民意見への回答に対して
参考記事:社会体育施設の光害について
送信先:飯田市ウェブサイト内「やらまいか提言」
【質問内容】(2012.8.17送信)
(前略)【提言】社会体育施設の光害について(2012.7.3付)の回答を拝見しました。
提言をされた方のご指摘は、必要ない場所までを照らす照明によって、(1) 天体観測に支障があること、(2) 自宅まで照らされ「眩しさ」を感じていること、の2点であると思います。それに対し、回答は(1)についてのみ言及され、「安全性」や「コスト面」から、照明の必要性を述べておられます。
指摘(2)については、環境省「光害対策ガイドライン」でいう「障害となる光」(人間の諸活動に対し、いらだち感、不快感などの原因となるもの)に相当し、快適な生活を送る権利を阻害するものだと考えます。光によるこのような悪影響は認知度が低く、声を上げる方は少ないですが、提言者の方の文面から、周辺の多くの方が同様の状況下で生活しているものと想像します。よりよい生活環境のために、ぜひ市として積極的に対策を行っていただきたく思います。
対策としては、「適切な形状の照明器具に交換し、不必要な方向への光をなくすこと」が挙げられます。「不必要な光」をカットするだけですから、安全性が下がることはありません。各照明メーカーからは、「光害対策型」「環境配慮型」といった製品が出ており、容易に実現可能です。
器具の交換にはもちろんコストがかかりますが、最近はLEDなどワット数の少ないランプが出回っており、長期的に見ればコスト減になる可能性が大いにあります。現状の照明器具とのコスト比較(器具交換費、電気料金、維持管理費などを含む)、生活環境の改善、美しい星空の価値、を総合的に判断して、ぜひ照明器具の改善を再検討していただければと思います。(後略)
【回答】(2012.9.11受信)
この度は、「やらまいか提言」に光害対策についてのご提言をいただき、ありがとうございました。
現在、当市では、社会体育施設の照明器具については、従来型の器具に光源として水銀灯やメタルハライドランプを用いたものを使用しております。
率直に申し上げまして、これまでは体育施設として夜間、必要な照度を確保することを目的に器具を選定してきており、光の漏れに対する特段の配慮をしてまいりませんでした。
直ちに多数の体育施設に設置されている夜間照明器具を光害対策型に更新することは困難ですが、今後の器具更新の際にはLEDや光害対策型照明器具の導入について検討してまいりたいと考えます。
貴重なご意見をいただきましたことに感謝申し上げます。(後略)
回答ページ:光害対策について
ライトアップの渡り鳥への影響に関して
参考記事:スカイツリープレスリリース(7ページに「雲のライトアップ」)
送信先:米子水鳥公園
【質問内容】(2012.2.15送信)
(前略)(1) 渡り鳥は夜間も渡りをするそうですが、どのくらいの高度を飛行するのでしょうか。雲の上を飛ぶこともあるのでしょうか。
(2) 渡り鳥の飛行ルートは大体決まっていると思いますが、東京都心の上空を飛ぶ渡り鳥はいるのでしょうか。
(3) 渡り鳥に限らず、普段から野鳥は、夜間にも飛び回っているのでしょうか。
当方は「光害」を研究しています。東京スカイツリーが曇天の夜に雲をライトアップする計画があると聞き、鳥への影響を懸念してのご質問です。(後略)
【回答】(2012.2.15受信)
(前略)(1) 鳥の飛行高度は鳥の種類にもよりますが、世界には8000メートル以上を飛ぶ鳥も確認されています。
しかし通常は数百メートル以下の高度を飛んでいると思われます。大きな鳥ほど高い高度を飛行できるようです。
高い高度を飛ぶときは強い風を利用して渡りを行う時が多いと考えられます。
(2) 勿論東京の都心上空を飛んでいる渡り鳥もいると考えられます。
東京都心部にも様々な種類の渡り鳥が飛来しているので十分東京上空を飛んでいると考えられます。
(上野の不忍池などにもたくさんのカモが飛来するなど)
(3) 夜間飛んでいる鳥に関しても様々でしょう。昼行性の鳥は夜間は寝ますし、夜行性の鳥は昼間寝ています。
フクロウの仲間やサギの仲間は夜間活動しているものも多いです。また、カモの仲間の多くも夜間活動していることが知られています。
また、小鳥の仲間は普段は早朝や日中に活動していますが、渡りを行う時には夜間に飛んでいるものが多いようです。
野鳥は鳥目ではありませんので、つまりは、夜間活動するのは餌を獲ったり、渡りをする為など、目的があっての行動と思われます。
また、人間の活動が影響していることも考えられます。特にカモの仲間が夜間採食行動をとるのは、
日中は人間の活動が活発なのを認識しての行動だと考えられます。(時に猟師さんなどがいるので、人間を天敵の1種ととらえているのでしょう)(後略)
NHK「宇宙の渚」の映像に対して
参考記事:NHK 宇宙の渚
送信先:日本科学未来館(毛利衛館長)
【質問内容】(2011.9.14送信)
(本内容を毛利館長に転送していただければ幸いです。)(中略)
さて、このたびNHKの番組「宇宙の渚」9月18日放送分に毛利館長がご出演され、宇宙から高感度カメラによって夜の地球の姿が生中継されると聞きました。
オーロラなどの美しい映像を紹介するのが主旨であるとは思いますが、そこには地上の大量の街明かりが映り込むと予想されます。
テレビを見ている一般の方はただ「街明かりが綺麗だ」と感じると思われますが、それは宇宙に漏れた人工光、すなわち光害の深刻さを物語っています。
つきましては、もし可能であれば、毛利館長に番組内で一言だけでも光害について触れていただければ幸いです。
たとえば「とても綺麗ですね。ですが別の側面から見るとこの光は光害といって、エネルギーの浪費、夜行性動物への影響、それから夜空の星が地上から見えにくくなるといった悪影響を及ぼしていることも、覚えておかなければなりません。宇宙から見える地球が綺麗でも、普段の私達の生活には何の役にも立ちません。地球温暖化を食い止めるためにも、不必要な電気はこまめに消すことを心がけましょう。」といった主旨の発言をお願いできないでしょうか(もっと短くても構いません)。
光害は、現代社会で急速に進行している環境問題であるにも関わらず、一般の方にはまだほとんど知られていません。
一方で、過剰照明の存在は誰でも身近で認識することができ、かつ簡単に対策を取ることができる問題です。
「光害」という言葉の認知度アップのために、ぜひご協力をお願いできないでしょうか。
今回のNHKの番組は注目度も高く、その効果はとても大きいと期待しています。(後略)
都市再生機構、集合住宅における光害削減策に関して
参考記事:都市再生機構プレスリリース
送信先:都市再生機構(UR)
【質問内容】(2011.1.14送信)
(前略)1月11日付の記者発表資料において、共用照明100万台をLED化する、との計画を拝見しました。
エネルギー削減効果の大きい素晴らしい計画だと思われますが、この計画では「人感センサーやタイマー・調光などの制御システムの導入」はご検討されていますでしょうか。
ご存じのことと思いますが、深夜つけっ放しの照明は、エネルギー浪費、生態系(特に蛾・鳥)への悪影響、夜空への漏れ光など様々な光害の原因となります。
一方で一般の方々が期待している「防犯効果」は、センサーを導入したほうが効果が上がるのではないでしょうか(すみません、集合住宅に関しては、きちんとした実証データがあるのかは存じません)。
当方は光害問題の啓蒙活動を地域で展開しておりますが、問題自体の認知度がとても低い一方、はじめは暗くすることへの不安を感じる方々も、きちんと説明をすれば納得して賛同を得られる、ということを強く感じております。
また、当方が参加している光害啓蒙の国際組織(国際ダークスカイ協会)では、深夜点灯しっ放しの集合住宅の照明は、典型的な「光汚染源」と挙げられることが多いように感じています。
貴機構のような大きな組織が率先して光害対策をしていただければ、国民に対する環境啓蒙の効果も非常に大きいと期待できます。
センサー・タイマー・調光制御などでできるだけ消費エネルギーを少なくすることは、LED照明の特長を生かした技術であり、今回の大規模リニューアルが導入の最適のタイミングであることを、ご提案致します。
初期費用が問題になると思われますが、エネルギー削減によるペイバックタイムおよび環境面のメリットを含め、ご検討いただければ幸いです。(後略)
【回答】(2011.1.19受信)
(前略)環境の取組みについて、お問い合わせ頂きありがとうございます。
照明による光害につきましては、当機構も十分認識しているところであり、照明器具の選定、配置には、
安全・安心な住環境の確保に加え、周辺への影響を考慮するよう努めております。
また、団地によって、深夜減光、一部消灯など、照明制御の取組みも行っておりますが、
LED化に併せた制御システムの導入につきましては、初期費用等の問題も含め、課題として検討しているところでございます。
ご意見、ありがとうございました。参考とさせていただきます。(後略)
大阪府箕面市、公園の安全対策に対して
参考記事:箕面滝道景観アップ プロジェクトGO 電線は地中/舗装で石畳/LED照明
送信先:箕面市
【質問内容】(2010.11.30送信)
(前略)本日、産経新聞が配信した件名の記事において、光害の観点から、以下の意見を述べさせていただきます。
(1) 記事の中で「夜に滝道を歩く人は非常に少ない。徹底して明るくした方がかえって安全対策として良いのでは」との意見が書かれておりましたが、これは全く誤りです。
(a)明るくすればするほど安全性が高まるというのは、誤認識です。明るすぎる照明は視機能を低下させ、周囲の自然環境にも大きな悪影響を与えます。
重要なことは均一な照度であり、その照度は周辺の暗さとも調和したものでなければなりません。
周囲がほの暗い公園であれば、控えめの照度で均一に照らした方が、視機能の適応が容易になり見通しが良く安全性が高まります。
(b)歩く人が非常に少ないのであれば、裏を返せばそこを照らしている照明エネルギーはほとんどが浪費されていることになります。
この場合、人感センサーの設置が、省エネ・安全性の両面から非常に有効だと考えられます。(22時までは通常点灯、以降はセンサーにより点灯、など)
(2) 昨今のLED照明ブームにおいて、省エネ面が大いにアピールされておりますが、LED照明には、照度の問題、
従来の光源とは異なる配光(照度分布)の問題、光源の輝度が高いことによるグレアの問題等、配慮すべき点は多数あります。
単に省エネ面とそれによる市民へのアピール面だけに気を取られてLED照明を採用すると、光環境が悪化する危険性があります。
淡い光による雰囲気の維持が必要であれば、暖色系の電球型蛍光灯も検討に値するものであり、水銀灯と比べて十分な省エネ効果が得られます。
状況に応じて適切な光源を選択することが重要です。
最後に、照明の設置は、鳥や昆虫など周辺の生態系にも多大な影響を及ぼします。その点も含めた「環境にやさしい照明」を実現していただきたく思います。(後略)
【回答】(2010.12.7受信)
(前略)この度は貴重なご意見を頂きありがとうございます。
箕面公園は年間120万人が訪れる観光名所で、電線の地中化や「ガス灯」風照明灯を実施し、夜間の観光価値を高めることで、さらに魅力向上を図り、観光客の増加を目指しています。
(1)点目の意見について、本市も越智様と同様の考えにより、ぼんやりとした控えめの照度で均一に照らすような整備で進めています。
一方、センサーによる点灯に関しては、道路としての安全性や夜間の観光客を誘引することからも、通常点灯としています。
次に(2)点目の意見について、省エネ面で有利なLED照明の設置に国や大阪府も積極的に進めており、LED照明を採用しています。今回使用しますLEDは電球色です。(後略)